Thinking Women

Written by Shashank Lele in 1994-5 Translated by Yoshida Mitsuko

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Location: 京都市, 京都府, Japan

January 20, 2007

第3章(1)

トゥルとリサの間の問題はまだ解決されていない。いや、されないようだ。残念だ。トゥルのつくるコロッケと焼きそばは、ラタンパリの中で文句なしに最高だからだ。トゥルはとてもプライドが高いけれど、礼儀正しく、私の挨拶には素直に答えてくれるのだが、リサに道で会ったり、彼の店の近くの八百屋で会ったりすると冷たい目に変わる。

ある日、私、リサ、範子そしてスンヌがタマリンドの大木の下の茶屋で朝食をとっていた。スンヌが詩について尋ねていた。物理学を研究しているこのケララ州出身の学生にウルドゥー語の詩を説明するのは、恐ろしく骨の折れることだろう。ちょうどその頃トゥルが入って来た、あるいは、しばらく私達の後ろに立っていたのかもしれない。店の主人が座るように言った。

「彼に尋ねたら、詩を書くから」

「トゥル、本当?」とスンヌ。スンヌはシャンティニケタンにもう6年も住んでいるので、住人のことは1人残らず知っているのだが、トゥルが詩を書くことはもちろん知らなかった。それはほんの内輪だけの秘密だった。トゥルはリサには打ち明けた。というのも、リサが本当に関心を持っていると思ったからだ。ウルドゥーの詩ではなくトゥルに。

トゥルは、自殺本能を持つ特殊な虫と、炎と、報われない愛について説明した。スンヌは長い討論を好んだ、そうすれば自分の話術を研ぎすます事が出来るからだ。しかし、トゥルは行かなければならなかった。彼は詩人であることには違いないのだが、じゃがいもが時間通りにゆで上がっていなければ、昼休みの客にコロッケが間に合わないのである。

美術学部の学生2人が、トゥルの空けた場所を占め、スンヌはすぐに別の話題を取り上げた。私は頭を左の方に向けた。リサはこの10分間いないふりをしていた。明らかに問題は健在なのだ。範子は、「あなたは本当にえらい」と言いたげな目で私を見ていた。

「本当にあなたを尊敬するわ。トゥルと何の問題もなく話せるの?」

「階級の違いということでかい? 彼が低いカーストで、道で食べ物を売る教育のない男だからということ?」

リサをいじめたい気分だった。 皮肉は当然、範子には全くの浪費である。

「ええ、それもそうだけど、あなたはそんなこと信じないでしょう? 前に言ったじゃない、ここの大学の教授連中よりむしろ、こんな人達の方に興味を覚えるって」

「じゃあ、何のこと?」

「あら、何って言ったらいいか分からないわ。問題があるでしょう…」

範子は真っ赤になっていた。彼女には、驚いてばかりだ。彼女は実際何でもやってしまう一方、少しでも情愛に関することを引き合いに出さなければならない場合は、女学生のように顔を赤らめる事が出来る。

リサはベンチから立ち上がり、さっきから子山羊のメェーメェーという鳴き声がしていた茶屋の裏の方へ行った。

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