Thinking Women

Written by Shashank Lele in 1994-5 Translated by Yoshida Mitsuko

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Location: 京都市, 京都府, Japan

July 21, 2007

第15章(2)

ジョンは若くない。苦労のあとが見える。だが彼がそこから何を学んだのか評価することは難しい。彼は合衆国に戻りたくない、ここが好きなのだ。長期間のビザと、ビジネスが始められる金が必要なのだ。始められるだけのいくらかの資金が手に入るなら、かなりうまくやれるという確信が彼にはある。このために日本人の妻が必要なのだ。美子が好きである。彼女が彼を好きだという証拠も揃っている。彼女は彼と結婚すべきであり、そうすれば人生のあらゆる未解決の課題は一発で解消するだろう。

「俺は規準内で動きたい。動き始める前に注意深く、自分でそれを限定する。一度定められたら躊躇はしない。ただ進むだけだ」

彼はアメリカ人だ。アメリカ人は馬鹿だ、とリサが言う。だがジョンはクリーブランドの実に素朴な男なのだ。商売が好きで、男友達が好きなのだ。もし規準を毎日毎回調節しなければならないとしたら、彼の頭はくるくる回り出すだろう。

「昨日の彼女の言葉はあまりにもショックだったよ。彼女、どうしてセックスするだけの友達じゃいけないの、と僕に聞いてきたんだ」

「どういう意味? スワッピングのこと?」

「つまり人はテニスをする友達や映画に行く友達を持つことが出来るんだから、どうしてセックスを一緒にする友達を持ってはいけないのかと言う意味なんだよ」

「美子は、君と美子との関係に当てはめるつもりで言ったのか」

「残念ながらそうだろう」

「もし僕が君の立場なら、そんなにショックではなかっただろうな。私達が出会った時、リサは似たような考えを持っていたんだ。今は彼女もそれ以外のことを期待しているとは思えないけど、少なくともその時は私だけが結婚を望んでいたんだ」

「しかし相手に全面的に関わり合うことは、二人の関係に全く新しい展望をもたらしてくれるだろ」

「それは彼女らの経験ではないんだよ、少なくとも彼女らの母親の経験ではない。男に全面的に関わり合うことはほとんどいつも彼女たちに苦痛をもたらした。今日、彼女らは教育を受け、経済的に自立しているので、ごたごたには関わりたくないのだ。彼女らはセックスのために男を必要とするが、その他のことではほとんど必要としない」

「しかし、母親たちは奨励しているようだ」

「結婚を?」

「俺は今混乱している。美子の母親が僕を歓迎してくれ、九州に旅することに何の反対もしなかった時、俺を将来の義理の息子と見なしてくれていたと思ってた」

「そうなんだ、僕もこの母親たちには驚いたよ。娘がセックスを必要としていることを知っていて、そのことに眉をひそめたりしない。だけど、結婚、つまり束縛は駄目なんだ。リサの母親は外国人との結婚、娘よりもずっと年上で、金も仕事もない男で、精神病の病歴を持つ男との結婚に猛反対した。しかし、リサがその男と一緒に寝るのには、反対しなかった。それが理解できない。彼女らはちょっと別の道徳感を持っている。リサはキリスト教的倫理感と呼ぶものをよく茶化すんだ」

「だけどあんたはキリスト教徒でなくて、ヒンズー教徒だろう?」

「そうだよ、でも150年の間イギリス人が一緒にいたし、さらに、古代のヒンズーの道徳とかそんなものが、イスラム教徒の侵略と共に随分変化したんだ。それにバラモンたちは堕落したし、その他多くのことが起こった」

「それじゃ、あんたは相手に全面的に関わり合うことなしにベッドを共にするという関係を認めるのか?」

「正直いって、ただ分からないと答えられるだけだ。こういうことは機械的にはきっと処理出来ないと思う。もし明日、リサがいない時に美子が私の部屋に来て、おかしな振る舞いをし始めたとしたら何が起こるか誰に分かるだろう? 彼女を追っ払うか、それともとことんやってしまうか、何でも起こり得るよ。全面的な関わり合いとか関係とかについてこうして話したことは、その時には全く意味のないことになるだろう」

「そんなことは映画でしか起こらないよ」

「そう願うけどね」

「とにかく、あんたが言うことはそんなに珍しいことではない。だけど俺が言いたいのは、つまりちゃんとした関係とか全面的な関わり合いとかのないセックスはあまり素晴らしいものじゃないということだ。高校の時とかそんな類ならオーケーだ。だけど二人の間で、他のことに関するすべてが合意に達していないなら、セックスで何の絶頂感も得られない。俺の言いたいこと分かってくれる?」

「やっと調子が出てきたね、ジョン。だけどね、君、日本でどれだけの女たちがその絶頂感を感じたことがあると思う? 彼女らはそれについて本で読むんだ。実際、彼女らはそのことしか読んでないようにみえる。リサは膣のオーガスムを得るための全く奇妙なテクニックをいくつか私に紹介してくれたんだけど。このオーガスムとかなんとかいうことがむしろ男女の関係の質に左右されるのかもしれない、と言うことは何故かわれらの女たちには理解できないんだろうね」

「この国の何が問題なんだろう? 俺にはここの人々は人間らしく思えない。何が彼らを悩ませているんだ」

「ワカラヘンケド、想像してみることは出来る。特に美子の母親のような人達についてはね。彼女らは戦後に大きくなった。あまりの恥だらけ、あまりの不名誉が、その頃の日本に山積みされていたので、子供達はある種の不感症になった。彼女らは子供達が必要とする物は何ひとつとして待てなかった。彼女らの大半は父親を持たなかった。そして彼女らの母親たちは疲れきっており、淋しく絶望的な人間たちだ。

不名誉のすべて、恥辱のすべてがこれらの子供達に不屈の精神を与えた。決定的に不屈の精神を。彼女らは成功しようと決心した。君の言葉を借りると、当面の規準を設定して、その中で一生懸命働いた。懐疑のために立ち止まったり、上手くいっているかどうか時折省みたりすることもなく……

その日本人と、47年の国土分割で根こそぎにされたインドの人々の間に私はある類似点を見る。彼らもすべてを失ったし、大部分は彼ら自身に落ち度などなかったのだ。彼らは同じように振る舞った。冷酷になり、がむしゃらに働くようになった。

とにかく、だから美子の母親の世代は成功した。彼女らの決めた規準内では非常に成功したのだ。しかし、その規準の外にあるものをすべて失った。取り返しのつかないほど失ってしまったのだ」

「時々思うんだが、もし俺が美子と結婚したら、美子と母親の両方が男もなかなか捨てたものじゃないということを知る機会を得るんじゃないだろうか。男もトモダチであり得ると」

「スゴイ、ジョンさん! 素晴らしい考えだ。関係というのはそのような考えの上に成り立っているんだ」

「そうなんだ。だけど彼女がまず結婚に同意してくれなきゃね」

「なぜだ? ジョン、何も求めないことだ。ただ与え続けるんだ、そして投資に見返りを期待しないことだ」

「それはギータからの引用かい?」

「いやいや、それはキリストが言ったんだ」

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