Thinking Women

Written by Shashank Lele in 1994-5 Translated by Yoshida Mitsuko

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Location: 京都市, 京都府, Japan
  • 白蝶日記
  • Bengal Report
  • Plants in Ayurveda
  • November 26, 2006

    第1章(1)

    私が山瀬範子に初めて会ったのは、シャンティニケタンの私の恋人の部屋だった。明るいオレンジ色のサリーを見事に着こなしていた彼女は、背が高く見えた。ボーイッシュな顔だが、スタイルは素晴らしい。
     
    「サリーを着ると背が高く見えるね」

    彼女を紹介された後、私は言った。

    「私、ほんとうに背が高いの」

    彼女はやや得意げに言った。

    私は少し驚いた。日本女性からこんな風な返答を受けるとは意外だったからだ。臆病だとは言わないが、よく知り合うまでは生意気の「な」の字さえ表面に出さないのが普通だから。

    私達はしばらくしゃべった。範子はベンガルの、ある他愛いない慣習の本当の理由を見出そうとしていたが、私がはぐらかそうとしたので、やや失望したようだった。

    「あの子、賢そうだね」

    範子が去ったあと私は恋人に言った。

    「英語が話せる人なら誰でも賢いんだから」

    と彼女はじれったそうな表情を見せた。

    翌週、私は範子に何度も会った。シャンティニケタンは、毎日誰もに1回以上は会う所なのだ。私達は宗教や霊性などについて軽くしゃべった。シャンティニケタンで、この種の話題を避けて通ることは難しい。ロンドンで天気について論議するのにほとんど匹敵する。同じことを繰り返すことに時々うんざりしたが、私の陳腐な減らず口に対して範子が漏らす深いため息が、私に話を続けさせた。

    範子と私達はなんとなく仲良くなった。これには2つ理由があげられる。 私が15才年下の日本人学生、リサと付き合い始めてから、シャンティニケタンの小さな日本人社会(そして、大きなベンガル人のお偉方社会も勿論)から、私はある種の危険人物と見なされるようになった。リサと私は、この状況をかなり楽しんだのだが、それでもやはり私達の交際を認めてくれる人がいるというのは重要なことだった。

    もう1つの理由で、これはもっと大きな理由になると思うのだが、リサは周囲20キロメートル以内にいる女に対するあからさまな嫉妬を範子には感じなかった。彼女は、範子と私を二人っきりにしておいて、野菜を買いに行くとか、リキシャ引きのじいさんの写真を撮るとか、猫と遊ぶとかのような用事をすることができた。